男性保育士による着替え・排泄介助問題について

千葉市熊谷市長の発言に端を発した「男性保育士による着替え・排泄介助」問題。
(ご本人によるまとめはこちら
 
保育士ではないけれど現場で実際介助をしている身としては、色々思うところもあり、facebookに書いたもの(2017/1/29)をこちらにも転記しておきます。
 
 
だいぶ論点は収束してきているようで、
(1)性虐待のリスク
(2)子ども本人の性的プライバシー・羞恥心の問題
がクリアできればよいのかなと思いました。
 
 
(1)については、「統計的なリスクを元に特定集団を排除するのは差別」ということでよいと思うのだけど、「ムスリムはテロリストかもしれないから排除」がいけないとわかっていても「男性保育士は性虐リスクがあるから排除」は妥当と思う人は、文化差とは違う、生物学的に抗えない犯罪的な素因みたいなものを男性に見出しているように感じます。
 
ただ幼児性愛という時点で標準的な性欲ではなくて個体差レベルの特質なので、そうすると男性・女性×男児・女児の4パターンどれもあり得るので、性別で制限する妥当性はないかなと思います。
 
 
(2)については感じ方の違いもあるのでナイーブな問題ですが、発達心理学的には性的な羞恥心が生まれるのは5歳頃で着替え・排泄が自立する時期と重なると思うので、これも基本的には問題にならないのではないかと思います。
本人の意識にかかわらず乳児期から配慮すべきと言われてしまうと目指すところは完全男女別トイレ・更衣室になるわけで、とても合理的ではない気がします。
 
 
もちろんいずれも本人や保護者の不安の程度に合わせてケースバイケースで配慮はすべきですが、一般論としては同性介助が絶対である必要はないと思いました。
 
 
今回は保育士が槍玉に上がっていますが、親でも教師でも見ず知らずの人でもリスクを言えばキリがないので、幼児期から各世代でCAPを導入するとか、性教育(自衛だけでなく、相手を尊重することを含む)を充実させていく方向にも議論が進むといいなと思いました。
CAPセンター・JAPAN (子どもへの暴力防止プログラム)
 
 

子どもへの性的虐待 (岩波新書)

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