映画『月光』

性暴力・性虐待の被害を描いた映画『月光』

製作費のクラウドファンディングに協力したリターンでチケットをいただいたので、見てきました。

以下、ネタバレ含みます。



***

ひとりで細々とピアノ教室を営むカオリ。ある夜、教室主催の発表会の帰りに彼女は教え子の一人であるユウの父親トシオから性的暴行を受ける。この事件は彼女の心身を傷つけただけでなく、過去の忌まわしい記憶まで呼び覚ましたのだった。一方ユウもまた父親からの性的虐待にさらされていた。自らの被害を誰にも打ち明けられず、深い孤独の底で苦しむカオリとユウ。再び出会った2人は運命に導かれるように痛みを共有していく。そして、カオリはユウの願いを叶えるため、ある決断をするのだった...
 

公式サイトに掲載されているあらすじがこちら。
読めば大方のストーリーは想像してもらえるのではないかと思います。


自分がなぜこの映画を見ようと思ったのか。実際に見て何を持ち帰ったのか。

言語化するのは難しいけれど、一言で言えば「被害のリアリティの体感」ということに尽きると思います。


声にならないうめき、髪をかきむしる仕草、魂を失くした表情。

そういう苦悶と絶望の描写には、「本人も悪いのでは」「なぜ誰にも相談しないのか」といったよく聞く薄っぺらい疑問を吹き飛ばす力がありました。

被害者と出会う可能性のある職業の人、特にその恐怖を想像しづらい男性こそ、見ておくべきと思う映画です。


***

主人公の女性は最後、状況が動く描写で終わりましたが、小学生の女児のほうはどうなったのか。

そこだけモヤモヤしています。

そちらにも救いの一端が見えればなおよかったなと。


関連記事も併せてどうぞ。

性暴力を描いた映画『月光』、男性監督が作品に込めた思いとは(治部れんげ) - Y!ニュース

「魂の殺人」と呼ばれる性暴力被害を描く映画「月光」から見えること|ウートピ

性暴力 「声なき声」を映画で伝える|NHK NEWS WEB