『自閉症 もうひとつの見方―「自分自身」になるために―』
- 作者: バリー・M・プリザント,トム・フィールズ-マイヤー,長崎勤,吉田仰希,深澤雄紀,香野毅,仲野真史,浅野愛子,有吉未佳
- 出版社/メーカー: 福村出版
- 発売日: 2018/07/10
- メディア: 単行本
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1年ぶりのブログ更新…。
某試験が終わり、中断していた本をようやく読了することができました。
すでに業界ではだいぶ話題になっていると思われますが、自閉症スペクトラムの人の行動特性について、温かな視点から読み解いた本です。
定型の人から見て“不適切な行動”を消去し“適切な行動”を学習させることを教義とした過激派ABAへのアンチテーゼが、おそらく背景にあるのだろうと思います。(本書脚注でも書かれているとおり、ABAの手法自体にイデオロギーはないのだけれど)
どんな行動にもその人なりの理由や思いが背景にあり、それを尊重することが支援の基本。
そこまではさほど目新しくはないけれど、一歩進んで「できなくて困っているから助ける」という上からスタンスではなく、「“〜したい”という本人のニーズに協力する」という姿勢を提示されたことは、自分の中で刺さるものがありました。
言い換えただけですること自体は同じかもしれない。でもその心持ちで変わってくるものがあるような気がしました。
このテーマは実は自閉症に限らず、すべての子育てに通ずるところでもあって。
駄々をこねる、イタズラをする、悪態をつく、ぐずる、癇癪を起こす、イケナイことをわざとする…。
ASDの子だと不可思議な行動と思われることが、定型の子だと意図がわかる分「ふざけている」「わがまま」と取られてとにかく叱られたりしていて、でも根は一緒だよなぁと思ったりしました。
原題の”UNIQUELY HUMAN”は、そういう意味で誰もが尊重されうる個人であることを表しているという点でも、深いタイトルです。