『発達障害の子どもの「できる」を増やす提案・交渉型アプローチ』

本田秀夫先生の講演資料で見かけた“合意”というキーワード。
 
資料だけだと細かい部分はわからなかったのだけど、たまたま書店で見かけたこの本の「提案・交渉型アプローチ」がちょうどそれにあたりそうで、読んでみました。
 
いわく、「叱らないけど譲らない支援」。
「やるかやらないか(=叱って言うことを聞かせるか、放っておいたり言いなりになるか)」の2択ではなく、「部分的にする・条件付きでする」など間の選択肢を用意し、選択してもらう。
交渉の主導権は大人にあるけれど、決定の主体は本人であるというところがポイントです。
 
発達障害のある子への支援アプローチとしては「叱らずほめて伸ばす」ペアレントレーニングというのがまずあって、本質的には同じだと思うのですが、年齢が上がるにつれて成功体験で終えるためのお膳立ての仕方にもコツが必要になってくるので、次のステップとしてとてもわかりやすい説明だと思いました。
 
この本自体は発達障害児支援をテーマに書かれていますが、定型の子の子育てや部下の育成など、あらゆる教育に有用な方法です。
 
子育てや対人支援を日常している人なら普通に使っているスキルでもあると思いますが、一方で最近だと高校での黒髪強制問題が話題になっていたように、「叱って何かをさせる」以外の教育方法を知らない人が多いのも事実で、「教育力の教育」も現代の大事なトピックだなと思いました。