『本当はあまり知られていないダウン症のはなし』ほか

薄いけれど中身の濃い本。久々に良書に出会った感。

アカデミックな解説と具体的・日常的なエピソードがバランスよく、平易な言葉で綴られています。


発達障害に比べると、ダウン症は社会的に認知された歴史の古い障害という印象だけれど、特に青年期・成人期の特性についてはまだわかっていないことも多いとのこと。

「急激退行」の話や、本人のモチベーションと家族の期待がすれ違う時期が来る話、他の障害にも通じる障害受容・家族支援の話など、どれも興味深かったです。

幼少期の療育に携わる支援者にも、ぜひお薦めしたい一冊。

<目次>
第1章 本当はあまり知られていないダウン症のはなし
ダウン症のことは「わかって」いない
・基本的な知識
・早期療育体制50年の中で
・「知的障害」でくくりきれない特性
ダウン症とウィリアム症候群
・記憶のモデル
・短期記憶の容量

第2章 ダウン症のある人の青年期・成人期
・成人期の知的障害者の健康
・成人期に見られる「適応障害
・いわゆる「急激退行」
・家族機能の変質
・思春期から青年期へ
・高度対人状況という言い方はなぜ必要なのか
・性格の特性

第3章 ダウン症の家族支援
・障害受容・子ども受容
・障害受容への支援
・関わりの中での留意点
・告知と専門職への感情
・「再起」への過程で起きること
・最初期ケアについて

第4章 出生前診断をめぐって
・「おなかの赤ちゃん」の診断
・「新しい出生前検査」騒動
 
 


あと一緒に買った本で、こちらのエッセイも興味深く読ませていただきました。

不安になるポイントとか、胸に刺さった支援者の言葉とか、保護者の体験記はいつも自分の身を引き締めてくれます。

ダウン症児の母親です! 毎日の生活と支援、こうなってる

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