『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母の毎日ラクラク笑顔になる108の子育て法』

著者の楽々かあさんという方を存じ上げなかったのですが、少し前にWeb上でバズっていた「声かけ変換表」を作った方だそうで。

生活の中で子どもが困っていること・親が困ることに対して、対応の工夫やお助けアイテムが非常に具体的に紹介されている、とてもオススメできる本です。

年齢でいうと3,4歳〜小学生、知的には軽度の遅れ〜標準の子たちがメインターゲットになると思います。



当事者家族による体験談やアイデアブックは昨今あふれるほど出版されているけれど、この本のオススメポイントは3つ。


1つ目は上述の通り、紹介されている工夫の具体性と量が類を見ないこと。

カラー写真付きの自作ツールはもちろん、遊び方や学校の先生への伝え方など、「なるほどなぁ」「これは使えそう」というアイデアが盛りだくさんです。

実生活の中でこの何倍もの工夫を日々トライアンドエラーしながら編み出していらっしゃるのだと思うと、本当に頭が下がります。



2つ目に、1章を割いて親御さんへのフォローが書かれていること。

自信をなくしたり、イライラしたり、自分のことを後回しにしがちなお母さんを、「頑張り過ぎているお母さん」とリフレーミングし、手を抜いていいんだよ、休んでいいんだよ、というメッセージを繰り返し伝えています。これは本当に大事だと思います。



3つ目に、「発達特性」「個性」と言われることの多い定型の人との違いを、「体質」と表現していること。

これ、僕も保護者の方に説明するときにそう言うことが多いんですが、実際書かれているのはあまり見ないので、見つけた!と思いました。


僕としては「体質」という言葉を、「自分ではどうしようもない(努力でどうにかなるものではない)」「個体差であって欠陥ではない」というニュアンスを含んで使っています。

例えば僕が「会議や講演会など人の話を一方的に聴き続ける場面でどうしても寝てしまう」のも、体質なのでどうしようもないのです。


それはさておき、「牛乳を飲むとお腹がゆるくなる」とか「花粉が飛ぶ日は鼻水が止まらない」とかそういう“体質”が、本人の意思と関係ない身体の特徴と理解され、「じゃあ牛乳は飲まなくていいよ」「じゃあマスクしなよ」と対応してもらえるように、

「授業中じっとしていられない」→「じゃあボールニギニギしてていいよ」、「板書が負担で話が耳に入らない」→「じゃあタブレットでノートとりなよ」、みたいな対応が早くあたり前になればと思います。


ツールもDLできる楽々かあさんのサイトはこちら。
http://www.rakurakumom.com/