グリーン車炎上事件にみる社会

超混雑だった東海道新幹線の乗客が「立っているお年寄りをグリーン車に乗せるべきだ」とツイート→炎上 - NAVER まとめ

事故で数時間立ち往生していた新幹線に乗っていた女性が、立ちっぱなしの高齢者や子連れ客をグリーン車のあいている席に座らせてあげられないかと車掌に頼んだがダメだった、とツイートしたところ、「偽善」「乞食」「金払え」と大炎上しちゃったという話。

正直、びっくりしました。匿名掲示板とかでそういう感想を述べる人がいるのは想像できるけれど、Twitterで名指しで相手を批判、罵倒する人がこんなにいるんだということに。

同じ匿名でも掲示板での一過性の書き込みと違い、Twitterには個人としての連続性があって、それなりのフォロワーに見られている自分の外向きの一側面であるはず。ということは、"スレの流れ"とかノリではなく、少なからず個人の意見として心から批判しているんだと思うんですよね。

とはいえ批判のポイントは人によって結構違うようです。

1.「疲れた高齢者や子連れ客を座らせてあげたい」というツイ主さんの気持ち
2.「そのためにグリーン車のあいている席を使う」というアイデア
3.実現のための車掌との交渉
4.叶わなかった後の車掌批判ツイート
(5.炎上後の批判リプライへのレスの仕方*1

まとめサイトを見ると、だいたい皆さん2〜4を批判している。ように見える。
でも、だとすれば「気持ちはわかるけど、こういう理由で難しいと思いますよ」「車掌さんじゃなくてお客様窓口に提案してみたらどうですか」と言えばいい。

罵倒している人は、まず前提として1に共感しない人が多い。だから「あなたがそうしたいならあなたが金を払え」になる。

それ自体は個々人の価値観だからまぁいいんですが、方法論が間違っているからツイ主さんの1の気持ちも「偽善」であると否定する人も多い。

福祉業界にいるとわりと人の善意に触れることが多いので、「他人がどうなろうが知ったこっちゃないという人」「他人の利益のために誰かが何かしようとすることすら受け入れられない人」がこんなにもいるということが顕在化したのは、ちょっと驚きでした。


なぜこんなことを書いているかというと、批判の中に「もちろん精神障害者も座らせてあげるんですよねw」みたいなツイートがあって、そうか障害をもつ人というのはこういう社会の中で生きていかなければいけないのか、と改めて突きつけられたから。

ただでさえ困難の多い彼らや彼らの家族が、肩身の狭い思いをすることなく、穏やかに日々を過ごせますようにと願わずにはいられない。

*1:個人的にはこのツイ主さんの煽り耐性はかなりのものだと思う。炎上したのがこういうタフでクレバーな人だったのは不幸中の幸い。